どうしても。
「ケーキ、落ちましたよ。拾わないんですか?」



「あっ、すいません。なんか、ボッーとしちゃって…。」



「つぅかぁさぁ、こんな所で泣いてるアンタ、目立つよ。泣くなら人のいない所で泣きなよ、一人でっ」



そう言いながら落としたケーキの箱を拾ってくれて私の手をもちケーキの持ち手を握らせてくれた。



少し私に触れたその手はこの寒空に似合わず、なんでも包み込んでしまいそうなほど大きくて………

とても、

とても、

暖かかった。



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