本と私と魔法使い
「で、お前はなんで入ってきたんだ?」


私の方向を向いて聞いてきた。しかもまた凄い馬鹿にしたように。

…お前って!!
何よ、この態度!!
私は若干イラッとしながら、無い胸をそって言う。

「私は図書館の清掃を頼まれてたんです!!あと、図書委員の和泉くんに勉強を見てもらう約束してるんです」

彼は、もしかして、と目を見開いた。
そこはかとなく嫌な予感がする。
私は彼の言葉を待つ。


「お前が和泉咲音…?」


彼の長い節ばった綺麗な指が私を指した。
…この人、なんで私の名前知ってるのよ?
いや、そういうことじゃなくて、もしかして、


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