本と私と魔法使い
教室に着いて息を整えていると、始業のチャイムが鳴った。

「ぎりぎりセーフだね」


前の席の秦野千亜が笑いかけてくる。栗色の髪がゆらゆら揺れている。

「だね。てか、全力疾走だったから、疲れたぁあぁっ‼久し振りだったからなぁ…」


「お疲れ、あ、今日の英1の予習やってきた?」

ふぅ、と安心しているとそんな事を聞いてくる。


「え?」

千亜はため息をついて、

「今日当てられるよ?絶対」

「ちーあーちゃんっ」


私はじっと上目遣いに千亜を見た。


「はいはい、ちゃんとノート見せてあげるよ」
「大好きっ」

そんな他愛のない会話をしていると、岡田先生が入ってきた。


ー…
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