ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
そんなある日、あたしは上級生の女に絡まれた。
咲々乃ってさりげなく人気があるから面倒臭いんだよねと、つくづく感じる瞬間。
見た目はまぁ…そこまで悪くないし優しいし、まぁどれも平坂には劣るけど。
でも身長は結構高くて、クラスの男子に比べたら落ち着いてるから年上から意外と人気がある、らしい。
まぁ確かに、ろくな男がいないうちの学校の中では良い方かもしれないけど。
「あんた、咲々乃くんの幼馴染みなんだって?」
なんで初対面の女にあんた呼ばわりされなくちゃいけないのか、わからないんだけどね。
ぴきりと浮かんだ青筋を落ち着かせるように、小さく深呼吸。
なるべく静かな声で、きっぱりと言い放つ。
「…そうですけど」
「ふーん…じゃあ付き合ってないんだよねぇ?」
…今、自分で言ったじゃない。
幼馴染みだって。
それ以上でも以下でもないって、はっきり言ってるのに。