Tolie.
しばらく間をあけて、
私から手を離した優斗さんは
苦しそうに顔を歪めながら
声を出して笑った。
目元を片手で覆って、
ははっ、て乾いた声で笑う
優斗さんを見てたら、何か
違和感が自分の中で生まれて
それが何か分からなくて
モヤモヤした。
「 いつだって、逃げられたのに
逃げなかったのは私です 」
「 うん、そうだね 」
「 一輝に甘えて、苦しめてたのも
私です 」
”そっか”って気のない返事が
返ってくるばかりで、不意に
顔を上げると
「 何か、言われたんじゃないの? 」
私の視界を優斗さんの大きな手が
塞いで、真っ暗になった。