Tolie.





「 ねぇ、美優ちゃん 」


「 ・・・・は、い・・ッ 」





優斗さんの手に力が込められたのを
自分の手で感じながら、搾り出した
声は掠れていた。






「 ”あの時”龍一は赤也からの電話で
  挑発されて気が立っているところに
  ”赤也の”車が目に入ったらしい。
  赤也は標的の周りを潰すのが目的で
  君を”リカちゃんのように”龍一の
  目の前で殺すことが目的だったんだよ。



  自分のことなんかお構いなしに
  龍一は”美優ちゃん”を助けるために
  車に飛び込んでいった 」





”龍一にはもうリカちゃんは見えてないよ”





心の奥底に隠していた不安が
優斗さんに取り除かれた。





あの時のあの声は、本当は
”リカ”だったんじゃないか。





都合のいい夢だったんじゃないか。
曖昧な記憶を信じることなんて
できなかった。






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