Tolie.




「 だから、アゲハとかツバサとか
  そういう名前になったんだよ 」




言葉を見失った私を見て
一輝は悲しそうに、顔を歪めた。




「 翼なんか折れたって足が
  あるじゃん 」




”歩けよ?”
私の頭をポンッと叩くと
一輝はゆっくり立ち上がって
大きく伸びをした。




「 時間は、かかる。その間に傷は
  治るだろうけど、治ったときが
  本当の”始まり”だと思う 」



「 ・・・どういう意味? 」




一輝は私に背中を向けたまま
その理由を教えてくれなかった。






< 49 / 445 >

この作品をシェア

pagetop