Tolie.




「 ツバサちゃんを車からここまで
  運んだの、俺なんだよね 」


「 え? 」


「 龍が最近、”ほしい女がいる”
  ってよく言ってたんだけど
  本当に攫ってくるとは思わなくて
  運んでって言われたときは戸惑った 」




そう言って苦笑して
そのときのことを思い出したのか
また眉を寄せた。




「 そのときに龍とツバサちゃんと
  この部屋に3人になったんだよ 」




私は気絶していたから
そんなことを知る由もなくて
俯いて、顔を上げない彼の話を
目を瞑りながら聞いた。




「 ”鳥とか、蝶とかの羽を折った気分” 」


「 え? 」


「 龍が言ったんだよ 」




”なんかクサイ台詞だよなー”
一輝は顔を上げて、笑う。




────────辛そうに・・。





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