Tolie.
靴を脱いで、私の後ろに立つと
そっと背中を指でなぞった。
「 痛くねーの? 」
私が頷いたのを確認すると
”そっか”と私から離れて
脱いだ靴をもう一度履き直した。
「 カズが来るまで部屋から出るな 」
相変わらずの命令口調に
口を尖らせながら、私は部屋に戻った。
やっぱり、傷が治っても
悲しそうな顔をするんだ。
布団に潜り込んで
龍一さんの言いつけを守る。
一輝が来るまで、出ない。
この1ヶ月間で龍一さんは
私に”外に出るな”と何度も
念を押してきた。
顔を合わせればキスをしてきて
彼は話す隙を与えない。