短編集
「うん。」
「どーも」
ここ数日、学食へ来ると毎回暁君とこうやって向かい合って食べている。
この席を気に入ってくれたのだろうか。
暁君は宣言通り熱々のカツカレーを持ってきている。
カツカレーなのにカツとカレーライスは別々になっている不思議。
カレーライスも半々でさらによそってあるのではなく、全かけ。ご飯が見えないほどルーがかかっている。
ここのカレーはとても辛く、よほどの辛党じゃないと食べられないと噂で耳にしていたが、実物を見るとその迫力はすごいものだった。
なにせルーが赤唐辛子をそのまま煮込みましたー。みたいな真っ赤なのだから。
さらにそこから匂う鼻につんと来るスパイシーな匂いもまた辛そうで・・・。
そのどろっと赤い液体と白いであろうご飯をスプーンですくい、口の中に暁君はいれた。
「辛っ!でもこれが旨いんだ」
暁君は辛党のようです。
ちなみに私は辛いのは苦手。多少なら大丈夫なんだけど。
自分の定食を食べながら、ガツガツカレーを食べている暁君を眺めた。
「ん?依紗那も食うか?」