短編集

彩は、鞄の中をあさりだし、パンフレットのようなものを俺に突きつけた。そこには今映画館で上映中のタイトルが並び、あらすじや見所まで書いてあった。
「これ見にいきたいんだ!誠も知ってるでしょ?このアニメ」
彼女が真っ先に指さしたのは、パンフの中でも他に比べて少し大きく載っているファンタジー物だった。確かに俺はこの話を小説で読んだことがあるし、アニメでも見たことがあった。
 内容は一見ありふれた物語のように、勇者が魔王を倒すみたいな話なんだが、主人公とヒロインの仲間になった人は殆ど魔王の手下やらに殺されてしまう。しかも殺され方がとにかくグロいという世間から見ればひどいアニメだろう。しかしその中にも恋愛も含まれていたり、バトルシーンでは魔法や技のの迫力があってとてもカッコいいんだよな。今回は映画化の前にテレビ放送されていて、それの続編らしい。
「へぇ~もう映画化してたのか。これ俺も好きなんだよな」
「だよね!だよね!これマジ傑作だよ!じゃこれに決定ね」
「おう」
今日の予定が決まったときに、バスが停車した。自動で扉が開き、先に彩が乗った。そのときに手と足が一緒だったのは言わないでおこう。・・・緊張しすぎじゃね?
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