短編集
「御幸さん、よかったら家でご飯食べていかないかい?ご家族さんと御幸さんに迷惑でなければですが」
急に夕食のお誘いがくるとは思わなかったが、好意は有り難く受け取りたいが、やはり迷惑になってしまうだろう。
「あ、いえ。そちらの迷惑になってしまうので」
「そんなの気にしないでくださいな。桜も喜ぶと思いますし。ねぇ?」
「うん!御幸今日一緒に食べようよー。お母さんああ見えて料理うまいんだよ?」
「どう見えてんだい!」
「あたっ!」
桜の母さんは桜の頭をぽかっと軽く殴り、両手を腰に添える。桜は両手で頭を押さえて、うーうー唸っていたが、桜の母さんは桜を気にせず話を続けた。
「もしかしてご家族さんに迷惑だったり?」
「いや、一人暮らしなんで、その辺は大丈夫です。ただ今日知り合ったばっかりなのに、そこまでしてもらうのは悪い気がして・・・」
「気にしなくても大丈夫ですよ。料理はこう見えても自信があるから」
「自分だって言ってるじゃん」
「あらホント」
三人は声を出して愉快そうに笑った。なんというかとてもほほえましい光景だろうな。
「じゃお言葉に甘えて食べさせていただきます」
「やたー」