短編集
「よし今日は張り切っちゃうわよー。気長に待っててちょうだいね」
そう言い残し、袖をまくりながら部屋からでていった。何というか、その後ろ姿は戦場に向かう勇敢な兵士にも見えるくらいに張り切っていた。
「あー今日のお母さん本気だ。御幸気を付けないとここ以外の料理はおいしいと感じないかもよ?」
「そんなにうまいのか!?」
「食べればわかるよ。きっと」
にやっと意地悪そうな笑顔を見せ、俺を上目遣いで見上げる。なんとも凶器じみてる上目遣いに俺はつい顔を背けてしまう。
「それは楽しみだなー」
「まぁその分最低でも1時間は待たされるけどね」
「となると帰りは9時くらいかなー」
「あ、そうだ!一人暮らしってどんな感じなの?」
「んーどんな感じっていってもな。家事も自分でやらなきゃならないから時間とか掛かるし、まぁとにかく大変だぞ?」
「今住んでるのってマンション?」
「そうだけど?」
「何階何階?」
「6階で部屋はロフト付きの七畳部屋のワンルーム。ユニットバス付き」
「ユニットバスってなに?」