憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

あたしは、きっと英語アレルギーだ。
アルファベットが並ぶのを見ると酷い睡魔に襲われるし、リスニングすればなんだか脳みそが無性に痒くなってくる。千秋と同じ高校に入りたいが為に、受験の際に中学英語を丸暗記したっきり。そのかいあって、合格する事は出来たが、その瞬間に覚えた単語を喜びと共に発散してしまった。大学はエスカレーターだったから特に何をするでもなかったし。

「尚様!」

思わず、あたしは尚の両手を握り締めていた。

「な……、なに……手離してよ」

若干引いている尚を無視して言う。

「お願いします!課題手伝って!!」

プライドのかけらもなくぺこぺこと頭を下げる。
田丸の授業は必須科目だから単位を落とす事が出来ないのだ。

尚は頼み込むあたしを上から下まで、まるで品定めするかのようにゆっくりと見る。

「…中の中、いや、下?」

「は?」

「まあいいか、あんた結構面白いし」

そう言って、そこいらの女子達を一発で悩殺してしまうような笑みをあたしに向けた。

(もちろん、あたしには千秋ガードがあるから大丈夫なのよ)
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