大人的恋愛事情
 
白いコートを爽やかに着こなし、可愛い顔でアッサリと詩織に言ってのける美貴ちゃんは、入社二年目のわりにスッカリ会社にも仕事にも馴染んでいる。



「そうなのぉ? あやしかったけど?」



疑わしそうな詩織を無視して、ロッカーを開けコートを脱ぐ。



「詩織さん、私のことより繭さんが企画課の藤井さんと、どこに行ったか聞いた方がいいんじゃないですか?」



コートをハンガーに掛けながら、サラッと言われてまた溜息が出た。



見られてたんだ……。



「企画課の藤井って?」



詩織が制服のベストを着ながら、首を傾げると美貴ちゃんがロッカーの扉を少し閉めるようにして詩織を見た。



「え? あんなにいい男知らないんですか?」
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