大人的恋愛事情
「シャワーするわ」
低く優しい声を出すので、私は藤井祥悟が動けるように少し頭を起こした。
頭の下にあった腕の温もりが、ゆっくと離れる。
無理に引き抜こうとはせず、私が頭を上げるのを待った男がもう一度頬にキスを落としながら、胸に触れていた手も放した。
ベッドの端に起き上がり床に落ちているシャツを拾い、それを着る気配を背後に感じながら、胸に広がる温かい何かから意識を逸らした。
「一緒にするか?」
「しないわよ。雑炊作ってる」
背中を向けたまま、そう返しても返事があるわけでもなく、ベッドから立ち上がるわけでもないので、気になり顔だけを後ろに向けるとこちらを見ている黒い瞳とぶつかった。