大人的恋愛事情
 
視線を上げるとそんな私の顔を上から見下ろしている藤井祥悟がいて。



その視線が僅かに動き、私の肩に落ちる。



きっとそこには今朝のキスの痕があり、少し屈んで同じ場所をもう一度軽く吸われた。



甘い痺れるような小さな痛みが、肩から首筋を駆け抜ける。



「なんかエロい」



微かに笑いながらそう言う藤井祥悟の濡れた髪から、水滴がポタポタと落ちる様子にその言葉をそのまま返したくなった。



無駄に色気のある男に、欲情する私は上を向くという不自然な体勢でいながら、視線を微かに笑う薄い唇に向ける。



キスしたい……。



別にそういうことを期待していたわけでもないし、純粋にお風呂に入るつもりでいたのに。
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