大人的恋愛事情
 
それなのにこの男の色気が、そうはさせずにいて……。



その思いを伝えようと口を開くと、顎に添えられていた手が僅かに動き指先が開いた唇を軽くなぞった。



顔を伝うお湯が、開いた口に流れ込む。



それを防ぐため口を閉じようとすると、唇にあった指先が唇を割り差し込まれそれを防ぐ。



口内に溜まっていくお湯に、少し慌てる私は思わず男の瞳に視線を向ける。



「誘うなよ」



少し呆れたような声にさらに欲情が湧きあがる。



口内に溜まるお湯に、いよいよ息が苦しくなり顔を動かそうとすると、添えられる手で阻止され上から見下ろす男が面白そうに呟いた。



「溺れるぞ、出せよ」



その言葉通り、口内だけで溺れそうになっている私なのに。
< 260 / 630 >

この作品をシェア

pagetop