大人的恋愛事情
 
諭すような声に、手に取った服を少し強く握った。



どうして私が悪いみたいな空気なわけ?



「なに? 今さらなんなのっ! 私が悪いわけ?」



「そんなこと言ってないじゃない。そうじゃなくて……」



「やめてよっ、詩織だって知ってるでしょ? あいつは私を簡単に……」



「後悔してるって言ってた、嘘じゃないと思うよ?」



そんなことを言われても……。



今さらそうですかって、わけにはいかないものでしょ?



手に取る服を乱暴に着る私に、詩織が静かに言って来る。



「圭、クリスマスにあの子に結婚したいって言われたんだって」



それが?
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