大人的恋愛事情
 
「崩れるな」



落ちそうになる腰を無理やり引き上げて、自分の乱れる様子を言葉にされると、どこまでも圭に支配される気がして。



後ろからの声しか聞こえないはずなのに……。



それなのに、私のすべてを持って行かれる気がして。



思わず手首に絡まるブラウスを握りしめながら、声を殺した。



そうでないと、本当に逃れられなくなる気がしたから。



せめてそうすることで、藤井祥悟との行為を比べないように。



どちらがいいかなんて、知りつくす年月が違うのだから。



背中を優しく撫でる圭の手が、そこからお腹に回ってくると、頭は拒否するのに身体は期待に揺れる。
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