大人的恋愛事情
 
意識して出そうとはしていない事だけはよくわかり、そもそもそれを隠そうとすらしない。



まあ、俺に興味がないなら当然と言えば当然だけど。



そんなどうでもいい世間話をしながら着いた店で、改めて飲み直す。



薄暗く静かなバーで、カクテルを飲む女はやけにしっくりと店に馴染む。



「よく来るのか?」



俺がそう聞くと、カウンターで隣に座り椅子に凭れる繭が身体を起こす。



「初めてだけど。てか、そっちがここに連れて来たんでしょ?」



不思議そうに返されて、そういう意味ではないと言い直す。



「ここって意味じゃなくて、こういう店にってことだ」



「どうかな? あまり来ない」



アッサリと返してくる女は、あまり来ないわりにリラックスしているように見え。



初めてこうして話をする俺にも、緊張している素振りもない。
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