大人的恋愛事情
 
藤井祥悟の存在すべてが、私を安心させてくれて幸せな気分になれるんだから。



「早くない?」



「先週は遅かったから、今週は早く終われるように頑張った」



なんて言いながら、私の隣を歩く藤井祥悟の長いマフラーが揺れる。



「帰れる雰囲気じゃないって言ってなかった?」



確か前に電話でそんなことを言っていたような……。



「まあ、そうだな」



軽く答えられるので、思わず隣を歩く男を見る。



「だったら」



無理して早く帰らなくても、いいんじゃないの?



あれから藤井祥悟の家の合い鍵を持っている私は、先週は先に家に帰って待っていた。
< 577 / 630 >

この作品をシェア

pagetop