大人的恋愛事情
 
「無理しなくてもいいけど? 課の雰囲気があるって……」



「そうだな」



「待ってるから別にいいわよ」



「違う雰囲気を出すんだよ」



違う雰囲気?



「なにそれ」



そう聞いた私に、藤井祥悟が優しく笑う。



「帰りたい雰囲気を出してきた」



「それってどんな雰囲気なの?」



よくわらず笑いながら返すと、同じく笑う男が少し私に近づいて囁いた。



「早く繭に会いたいって雰囲気だよ」



そんないちいち嬉しい事を言ってくれる男との、久しぶりの外食は初めに行った「櫻」という店。
< 578 / 630 >

この作品をシェア

pagetop