大人的恋愛事情
今日は送別会があることをわかっている男は、きっと今頃家で一人何かを食べているだろう。
そんなことを考え出すと、やはり帰りたくなってくる。
暫く部長の愚痴を聞き、不満そうな美貴ちゃんをたしなめていても、やっぱり帰りたいと思う私は席を立った。
「どこ行くんですか?」
「トイレ」
春になっていて助かった。
トイレにコートを持って行くなんて不自然過ぎる。
バッグを手に持ち、少し酔った勢いに任せて帰ることにした私は、トイレに行くふりをして店の出入り口に向かった。
休み明けまた美貴ちゃんにブツブツ言われるだろうけど、それよりなにより藤井祥悟に早く会いたくて……。
「佐野さん、帰るんですか?」