大人的恋愛事情
「今日はどこで食う?」
そんなことを言いながら、私のデスクまで来て、隣の空いている椅子に跨ぐように座った。
隣の社員が先ほど「お先」と声を掛けて、お昼に出て行ったことを恨みたくなる。
「ちょっと、やめてよっ」
出来るだけ抑えた声でそう言っても藤井祥悟は気にもしていないのか、椅子の背もたれに腕を置き、キャスターを使って私の隣に来る。
「変な噂も今さらだし、直接誘いに来た」
反対の隣の美貴ちゃんの、突き刺さるような視線を避けながら、苛立ちを押さえて声を出す。
「ホント迷惑なんですけど」
「昼食べるだけなのに?」
「昨日のメール見ませんでした?」
「見たよ」