crocus

そして、もう1つ。若葉が教えてくれたこと。

もみじの花言葉「思い出を忘れない」

これが知らぬ間に傷ついていた心をずいぶんと軽くした。

背中を押して、もしかしたらと考えるきっかけをくれた言葉。

この優しい痛みと花言葉は、過去を打ち明ける怖さに対して有り余るほどの褒美に思える。

まるで生まれ変わったような心境の琢磨は、今なら何でも出来そうなほどの高揚感で包まれていた。

雷だって恐くねぇかも!

そう思って後ろを振り返ってみたが、薄暗い空を見ればカーテンに伸ばしかけた手が止まる。

…うん、そりゃ…急には、な。

どんまい。と、トントンと自分の胸を叩いて気を取り直す。

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