crocus

縁石を歩くモチベーション


今でも残る微かな記憶。

初めて見た守護霊は、お母さんの後ろに見えた優しい笑顔のおじいさんだった。しばらくして、その人はボクのおじいちゃんだったのだと写真を見て分かった。

誰かに触れる度に、その人の向こう側に立つ人に話しかけていたと思う。人によっては数人見られることもあった。

初めて見た霊が穏やかな人柄がうかがえる自分のおじいさんだったこと。両親がそんなボクを恐れたり、咎めたりする事もなく、一個性として受け入れてくれたことで、ボクはボクを怪しむことなくスクスクと成長していった。

そして他人とボクに大きな違いがあることを知ったのは幼稚園の年長さんの時だった。

◆◇◆◇◆◇◆◇

「せいごくん、あっくん、けんたくん、みつきちゃーん、みうちゃーん!おやつの時間だよー」

砂場で遊んでいると、先生の園児を呼ぶ声が聞こえて、そちらに走り出した。もう中では、たくさんの友達が椅子に座って待っていた。

大好きなせんべいの袋をもらって、自分の席に着くと、隣に座っていた子が落ち込んでいた。今ではもうフルネームは忘れてしまったけれど『りゅうくん』と呼んでいた気がする。

「りゅうくん、どうしたの?食べないの?」

「……飼っていたネコが死んじゃったんだ。もうネコは何も食べられないのに、僕だけ食べるなんて出来ないよ」

思い出してしまったのか、みるみる内にりゅうくんの横顔がクシャクシャに歪んでいく。


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