ありときりぎりす
春が来て、ありは巣穴の外に出ました。

きりぎりすの死骸を見つけたので、解体して食料庫に運び入れました。

それからも働いて、働いて、働き続けました。

そしてある日、ついに動けなくなりました。

自分は死ぬ。

ついに来たか、と思いました。

思えば、働くだけの生涯でした。

自分は立派な大人だった、それだけは誇りです。

薄れていく意識の中で、ありは呟きました。


「やっと終わった。疲れたなぁ。」


自分が働いてきた事で、次の世代の基盤ができた。

自分の代わりに、子供達が立派に仕事をしてくれる。

「なんだか寂しいなぁ。」

ありの死骸はきりぎりすと同じように巣穴に運び込まれ、死後も仲間たちの支えの一つとなったのでした。






ー終わり
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

詞

総文字数/850

詩・短歌・俳句・川柳4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
完全に悪のりです(笑) イタいです それでも、お付き合いいただけると嬉しいです
とらべりんぐトリオ

総文字数/32,250

ファンタジー86ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
アナタ達の願いを叶えましょう☆ ただし賭に勝てたらデス ルールはカンタン♪ これからアナタ達を別々の場所に飛ばしマス そこからスタートして再び集まれたらアナタ達の勝ちデス☆ これだけだとつまらないから制約をつけましょう♪ アナタ達の姿を変えマス 何になるかはお楽しみデス それから、アナタ達の名前を他人に知られたら、そこでゲームオーバーデスヨ 行き先は魔法の国‘ファンタジア’ つまりアナタ達は 右も左も分からない異世界で 顔も名前も分からない仲間を探し出さなければいけません さぁ始めましょう 命と 仲間と 運命を賭けて 楽しい楽しい 冒険を
眠り姫

総文字数/1,641

絵本・童話6ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
昔々のお話です あるところに、イバラに取り囲まれ、覆い尽くされ、絡め取られた大きなお城がありました 人々は口々に噂します あそこには、たいそう美しい姫様が囚われているのだと 姫様は悪い魔女に呪いをかけられ、ずっと目覚める事なく眠り続けているのだと 城の中には魔女の使い魔が巣くい、侵入者に襲いかかるとも言われているにも関わらず 何人もの勇ましい男達が、ある者は姫様見たさに ある者は正義にかられて ある者は腕試しの冒険にやってきます 今日もまた、無謀な若者がイバラの檻へと自ら足を踏み入れてしまいました はてさて、彼の運命は…

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop