恋ってよんでもいいですか?
「ありがとう、わこちゃんが辛いの、わかってんのに。でも、これからの俺達の為に聞いて欲しい」


これからの私達?


私達にこれからがあるのかな?


「あの頃、俺らの両親の離婚でさくらが荒れててさくらは春樹ともうまくいかなくなってたんだ。

春樹はわこちゃんのこと、好きになりかけてたよ。春樹本人は気付いてなかったみたいだけど。

春樹から、さくらと別れるかもしれない、って聞いて妹可愛さ故に俺、余計なことした。

さくらとわこちゃんで揺れてる春樹に、俺は、さくらを捨てるのか、って言ったんだ」


「……」


隼人くんの顔が辛そうに歪んだ。


「春樹に、俺は…わこちゃんとのことはなかったことにすればいい、って言った。

なかったことになんか出来ない、って春樹は言ったよ。

そんな時、さくらが家出した。

なんとか連れ戻したけれどボロボロだったさくらを春樹は自分が守る、って俺に言いに来たんだ。

わこちゃんには、春樹、自分で話す、って言った。

俺も、その方がいい、って思ってた。

だけど…さくらは気づいてたんだ。

春樹は、わこちゃんにはもう二度と会わない、ってさくらに誓った。

だから、俺が、わこちゃんにあんな酷いことを言いに行った」


「……」


あれが…あの時の人が、間違いなく隼人くんなんだ。


あの時の春樹くんの親友が隼人くん。


にわかには信じがたい真実。


私が隼人くんを全く覚えていないのはあの時のことを全てなかったことにしようとしたからなのか、言われた事実が悲しすぎたからなのかわからないけれど


もう認めるしかなかった。

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