惣。
「穂群?居るのか?」
薄暗い穂群の部屋の照明スイッチを手探り、灯す。
「あ…ああ…」
穂群は机の下に潜りフローリングで膝を抱えていた。
「どうしたんだ?」
惣が机の下を覗き込む。
その顔は今まで以上に桜志郎に似て見えた。
「ああ…墨を…フローリングに付けてしまった…筆を落として…」
「筆?これか?」
「そうだ…護符を書いていた」
「…いつからだ?そうしてるの」
拾い上げた筆が墨を吸い固まっているのに気付く。
「…ずっとだ…桜志郎殿が現れて…それからだ…」