惣。
「桜志郎さんが現れたって?穂群は?」
さほど遅くならずに眞絢は帰宅した。
「今、風呂に入ってる…」
穂群を見つけた時の状況を聞かせる。
「そんな怯えた様子だったなら本物なのかもな…」
「俺が文七役になる…って…予言か?」
「今まで何をしても現れなかったのにな…」
とっくに酔いから醒めた眞絢が腕組みをする。
「でも…他のモノなら穂群が見破りそうだけど…俺は興行先でモノの化けた姿だけど桜志郎さんを見てる。兄ちゃんは?」
「俺は、穂群と同調した時に彼女の記憶から見たよ」
「…そんなに似てる?」
「どうなんだろうね?もう穂群だけしか解らない事だしね…そろそろ出て来るかな?」
バスルームの照明を消す音に眞絢が気付く。