好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
第8章 現実
どれくらい時間が経ったのか。


光の話は遠い国のムカシバナシのようで実感が湧かないというか

ただのお嬢様の私には、あまりに非現実で

あまりに寂しく切なくて。


緊張を隠すように右手に持ったコーヒーカップが

一口も私の口に触れることなく冷たく固まっていた――




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