好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
マスターが光の横に近づくと、光がバッグの中から財布を取り出した。

「あ、お金…」

「コーヒー一杯くらいだから、俺に出させてよ」

「でも」

「普通、男が出すもんだよ」


私は黙って頷いた。




もう辺りは薄暗くなって、

外に出ると驚くほど風が冷たくなっていた。




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