好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
「和希って人、知ってる?」
歩いていくクラスメートに気を取られていた美紀が、慌てて私を見た。
ほんの一瞬だけ、ぎゅっと眉間にしわが寄った気がした。
けれど、美紀はすぐにいつものように、
おどけるように人差し指で唇をつんつんして、少し考える素振りをした。
「知っていると言えば、知っているけどぉ」
「美紀ーっ!! もう先に行くよぉ!?」
教室の入り口で顔をしかめたクラスメートが叫んだ。
もう3分もしないうちにチャイムが鳴る。