夫婦ごっこ
「よかったわね。楽しんできて。」

「はい。やっと連れて行ってもらえます。
いっつも仕事仕事って…だけど今回は仕事にならないように
平日に終わらせてくるって言ってくれて
正直とってもとっても楽しみなんです。」

  私だって恒くんを知ってるもん

「大浦くんってどんな旦那さま?」千鶴さんが質問してきた。

「優しくて…頭がよくって…ちょっと意地悪だけど…
いい夫だと思ってます。」

あくまでも雇われ妻らしく 答えないと…。

「どんな人と結婚するんだろってみんなで
よく噂してたの。紅波さんみたいに若い子だとは想像してなかった。」

あの話…今なら聞けるかも……
だけど聞くのが怖い気もした。


  恒くんの恋人だった人ってどんな人?

「家庭教師してた時 片想いしてて
ひさしぶりに再会した時思わず告白しました。」

「知ってる。家庭教師してた時も今思えばあれは
紅波さんのことだったのね。
頭がよ過ぎて反対に教わってるって愚痴ってたわ。
ほんとやる気のない人だったから…。うふふ…。」


  確かに…やる気のない家庭教師だったし…

恒くんからリアルタイムで話しを
聞いている千鶴さんに軽く嫉妬していた。

「今はとっても理想的な夫です。」

今の恒くんは 私だけのものだから。
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