夫婦ごっこ
あれだけ経験豊富な
フリをしてきたから
隆弘はすっかりその気に
なっている。

ニヤニヤして…気持ち悪い…。

「先に入って…。すぐに
入るから……。」

素っ裸になった隆弘を
通り越して必死に壁を見ながら
笑顔をつくった。

信用させるために上着を脱いで
上はブラになる。

肌中に鳥肌……。

「早く来いよ。」
そう言いながら隆弘は風呂に
入ってくれた。

私は大急ぎで上着を着て
治の部屋から飛び出した。

「バ~~~カ~~。」
そう言いながら足が震えて
悲しくもないのに涙が出た。


  怖かった……。

体中が冷たくてポケットに
手を入れた。

携帯が鳴り続けている。
隆弘からだった……。

ポケットの中で紙がカサッと
音をたてた。

  恒くんの……。
隆弘の電話が切れたらすぐに
恒くんの番号を押した。


  出て・・・・・。
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