夫婦ごっこ
次の日 恒くんはもう起きて コーヒーの用意をしてた。

「あ 私がするよ。」

「いいよ。俺が早起きだったんだから…たまにいれるよ。
独身の時はちゃんと一人でやってたんだよな。
いつの間にか 紅波に何でもやらせてた。」

コーヒーのおとす香りが広がった。

優しい香りだった。

ひさしぶりに向かい合わせでコーヒーをのんだ。

目が少し腫れてる気がしたけど
あえてそこにはつっこまない……。
男のプライドだってあるから。

言いだしにくかったけど 明日のビオンのライブのこと
一応話しておかなきゃと恒くんに話した。

「……いいよ。たまには出かけておいで。」

恒くんの一瞬の間にちょっとドキドキした。

「とても素敵な歌を歌う人なんだ
これからデビューするの。」

思わずつけたす。

「そうなんだ。それは楽しみだね。」

「うん ホントに楽しみ!!」

ついつい元気に答えた。

恒くんは新聞に目を落とし始めて
いつもの朝が始まった。
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