夫婦ごっこ
それにしても私が知ってる恒くんと
今ここにいる恒くん

どっちが本当の姿なんだろう。


でもここにきて 恒くんはもう私の
知っている恒くんじゃなかった。


冷たい顔……
厳しい声……
ひたすら仕事をしてる後姿


「コーヒ入れてくれる?」

私は立ちあがってすっかり慣れたコーヒーを
おとしはじめた。
恒くんはブラック
私は甘いコーヒー


まだまだ子どもの香り

「来週 社宅に引越すから。
今度は広いから紅波にも 部屋をあげる。」


「社宅って会社の人の家族がいるんでしょ?」

「そうだよ。だから用心してほしいんだ。
復習してみたか?」


「大丈夫よ。」

「紅波は頭のいい子だからな。
とりあえず心配はしてないけど。」


恒くんのご要望通り……
夫婦ごっこはもうすぐ本番。


引越しが終わったら結婚式……。


雇われ妻だけど…花嫁衣装も着ちゃう。
ドキドキした。
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