夫婦ごっこ
紅波は眠ったままだった。

「恒くん 紅波は?」紅波の両親が青い顔をして
病院にやってきたのは次の日の昼ごろ。

「すみません。僕がいながら…まだ目覚めません。」

「なんてこと……。」

母親がふらふらと倒れそうになった。

紅波のことでこんなに憔悴しきっているのを
見せてやりたかったなと思った。

とりあえず両親に紅波を頼んで一度家に戻って
入院の準備をしに来た。

仕事は休暇をとった。
自分は家族のために休暇はとらないと思っていたけど
簡単に休暇をとっていた。


すべてが皮肉だった。


どれだけ紅波を愛してたのかを痛感する。


電話が鳴って出ると

シゲミミというお店のミミさんという人だった。

「あの…紅波さん今日出勤なんですけどね
いつもはちゃんと連絡くれるんですけど 具合そんなに
悪いのですか?」

「出勤?」 初耳だった。

「ええ。うちでパートしてるんです……けど?
もしかして聞いてませんか?」

「すみません。全然知らないです。」


そう答えた。
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