夫婦ごっこ
ミミさんの話ではもうパートをはじめてから
ずいぶんたっているということだった。

「ご主人ですよね?」ミミさんの声が厳しかった。

「何も聞いてなくて。」

「料理とかの腕あげたとか気づきませんでした?
うちでいろいろ覚えて 旦那さんに作ってあげるんだって
それはけなげに勉強してたんですけど……。」

「あ…確かに…料理はすごく上達してたけど…。」

「気づいてあげなかったんですか?」

「恥ずかしいんですけど 仕事ばっかりで…。」

「お忙しいとは聞いてましたけどね。
それで紅波さんは?具合相当悪いんですか?」

胸が痛くなった。

「それが昨日の夜なんですけど交通事故で……
今 まだ意識が戻らなくて……僕は今入院の準備で
戻ってきたんですが……。」

「え・・・・・。
交通事故ですか?危ない状態なの?」

「出血がかなりあったもので…。」

ミミさんに紅波の病院と病室を教えた。


「とにかく旦那さん すぐに紅波さんのそばに
戻ってあげて。目が覚めてあなたがいたら
ほっとするから。」

ミミさんの言葉に

  違うよ……それは俺じゃない

そうは言えなかった・・・・・・・・。
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