夫婦ごっこ

病院に戻ると紅波の両親が頭を抱えていた。

「あの子とちゃんと向き合わなきゃって思ってたのに
なかなか…それができなくて…
まだまだ時間もチャンスもあるって
そう思ってたから……私は…何をしてたのかしら…。」

そういうと母親は涙を流した。

その言葉　紅波に聞かせてあげてください

俺はそういった。

紅波と母親との確執は　紅波のトラウマになっている。
今の言葉を　母親から聞いたら　紅波は
どんなにうれしいだろうか……。


　　紅波…がんばれ……。

少ししてミミさんとシゲさんがやってきた。

「いつもお世話になっております。」

俺は頭をさげた。

「こちらこそ　明るくて前向きで可愛らしい子で……
店だけでなく　うちの孫にも力を与えてくれて……
本当に魅力あふれる素敵な子だよベニ―は……。」

シゲさんはそういうと目を潤ませた。

「孫にも連絡とらせてもらったから
今日の夜でもよらせてもらいます。」
ミミさん。


「お孫さんって……。」

「ビオンっていう…つい最近デビューしたんだけど
こうして今夢がかなったのもベニ―が支えてくれたからだって
孫はいつも言ってるの。」


　　ビオン………。


これは運命だと俺は思った。