夫婦ごっこ
私がトイレを出ると入れ違いに
二人がバタンバタンと個室のドアを閉めて話出した。

「だけどさ~~ビックリだったよね。
私はあの二人が結婚すると思ってたからまさかの
幼妻……ビックリだったわ。」

  幼妻・・・・・。

「うちも知らない間に別れてたんだ。
いいカップルだったのにね。チャラ男と体育会系。
でも二人とも幸せだということでよかったよね。」


  恒くんのことだ…。

その二人が出てくる前に慌てて店に飛び込んで
席についた。なんか心臓がキュー―って縮まった気分……。

「今日はありがとうございました。」

私が挨拶をしてると多分トイレにいた二人組が
店に入ってきた。

「あ~~来てたの~~。」

「今 来たんだ。今日はサンキューな遠いとこ…。」

「何言ってんの。その代わりつんくも来てよ。
うちらの時わかってるよね。」

恒くんはなぜか 女性からは つんくと呼ばれていた。

「あれ…千鶴さんは?」私が聞くと

「あ…なんかダーリンから電話があってそっちの方に
呼ばれたみたいなの。」

「行き違いになっちゃったんですね。」

「そう…そう…。ね~~~ぇ!!」

女性たちは目を合わせて言った。

前さん…今日は別行動だってにこやかだったのにな……。


女性二人と千鶴さんは同好会のマネージャーだったようだ。

本性を知っている人たちに
つっつかれてる恒くんの笑顔が可愛かった。



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