夫婦ごっこ
「うわ・・・・。」

寝られなくて…寝坊した。
飛び起きたら 恒くんはもうスーツを着て新聞を読んでいた。

「ごめんね。」

「あ いいよ。気にするな。」

「お弁当……。」

「外で食べるからいいって。それよりさ…昨日待っててくれたのに
悪かったな。それに誕生日だったんだな。
今日 夕飯昨日のご馳走でいいから。」

嬉しくなった。

「今日は早く帰れるの?」

「うん。きっと……大丈夫だと思う。」

昨日までのイライラはすぐに解消された。


なんだか恒くんの言葉や態度で
簡単に変わってしまう自分が切なくてイヤだった。

「千鶴さん…大丈夫だった?」

気になっていたことをぶつけた。


「前が来たから 落ち着いたみたいだよ。
あいつ…父さん子だったから……ショックだったみたいで
俺も世話になったんだよな。最後にちゃんと会えてよかった。」


「会ってきたんだ。」

恒くんは一瞬ビクンとした顔をしたけど

「送った時に 見舞ってきたんだ。」

「千鶴さんとは大学でも仲良しだったんだ。」

「マネージャーだからね。」

恒くんはそう言うとコートを羽織った。
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