君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
一匹狼と転校生

転校生現る

「はぁ…」
学校に居場所はない。家に帰っても誰もいない。都会になりきれない田舎町の、一番背の高いデパートの屋上で、夏樹はため息をついていた。

学校での夏期講習が終わって塾に行った。塾は個別指導だから誰とも話さない。よりによって今日は相性の悪い大学生講師が相手だ。「なーんだ、わかってるじゃん」とニヤニヤして、ひたすらプリントを解かせるだけ。別に行きたくもない塾だが、裕之の薦めとなると断れなかった。

周りは着々と受験の準備を進めている。けれど、自分にはその決心がつかない。ただ、家を出て働きながら勉強しようか、などと考えていた。

どれほど時間が経ったのだろうか?周囲もだいぶ暗くなり、空腹からかめまいすら感じられた。後ろを振り返った拍子によろめいた、その時だった。真っ白な肌の少年が立っているのを見つけた。いつから自分の後ろに立っていたのだろうか。夏樹は柵に手を伸ばし、ふらふらと立ち上がった。

「誰?」
「あっ…あの…」
突然のことに少年は顔を真っ赤にした。
「俺が死ぬとでも思ったの?」
「は、はいぃ?」
「自殺志願者だと思って止めに来たのかと思った」
実際、このまま勢いで飛び降りてしまってもおかしくないような状況だった。しかし、少年はそういうつもりで立っていたわけではないらしい。
「…何しにきたの?」
もう一度尋ねたが、少年は口を閉ざしたままだ。夏樹は少年の脇をゆっくりと通り過ぎた。

「待って!」
夏樹が数歩進んだところで、少年が口を開いた。
「約束してください。もし、もう一度会えたら、僕と友達になって欲しいんです」
「もう一度会えたら?」
「はい…ダメですか?」
夏樹はもう一度会えたらという不思議な条件に首をかしげながらも、悪い気はしていなかった。
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