君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―

結子ちゃん

それはまだ、夏休みの始まる前の話。

「おい、瀬名。いい加減髪の色戻せよ」
学級会長の森村慎吾は一年生の時に厳しい風紀委員として学年中に名を知られていた男子。名前を呼ばれた瀬名結子は不良生徒として教師たちからもマークされている女子だ。
「この会長マジでウザイ。聞くわけないじゃん」
「渡会、お前は席が隣なんだから何とか言ってやれ」
呼ばれた渡会夏樹はというと一年生の時は学級で一人浮いている、どちらかと言うとネクラなイメージの男子生徒だった。
「知るか」
慎吾と夏樹は家が隣同士の幼なじみだが、夏樹は慎吾にあまり関心がない。この日も反応は静かなものだった。
「夏くんやるねぇ。会長さんにこんな事言えるなんてカッコイー」
結子の言葉に慎吾は更に腹を立てた。
「何を言ってるんだ。クラスの環境を良くするのはクラス全員の責務だぞ」
「俺には関係ない」
夏樹は本を読むのに夢中だった。慎吾の話は上の空といった感じだ。
「マジ夏くんリスペクト。ゆーこは夏くんが言ってくれるなら茶髪辞めるよぉ」
慎吾は結子の言葉を聞き逃さなかった。
「渡会、お前が説得しろ。後は俺も知らん!茶髪の生徒がいて怒られるのは風紀委員のお前なんだからな」
暴風のような慎吾が立ちさっても、夏樹は知らん顔をして本を読み続けていた。
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