366日の奇跡
長い1日
あたし自分を不幸だなんて思った事はないよ。
だって、親父いてくれたもん。小さい頃に母さんがいなくなってから親父は小さなあたしを護ってくれてた。
今は、反抗期とか思春期とかあって話するのも少なくなってたけど…―
別に親父を嫌いだからじゃない。
あたしに話してくれれば、少しぐらいは役に立てたかも知れないよ。
ある日…―
バイトが終わって家に帰ったら目の前に広がる光景に唖然とした。
「な…なによこれぇぇぇ?!」
部屋が片付いていないのはいつもの事だけど片付いていないとかのレベルじゃない、荒らされていると言った方が正しい。
いつもならテレビを観ながらビールを飲む親父がだらしなく座っているはずなのに姿がない。
あるのは、ひっくり返されたテーブルと転がるビール瓶。
「親父…」
どこもかしこも滅茶苦茶になって泥棒が入って親父が必死に抵抗して…刺されて…もう悪い事しか頭を過らない。
台所にもいない…―あとは、風呂場…?恐る恐るドアを開けた。
「……」
幸か不幸か血まみれの親父はいなかった。とにかく警察に電話…震える手で携帯を握りしめた。