パラドックスガール
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「ただいまー。」


「おー。」


家のドアを開けていつものように言うと、リビングからお兄ちゃんが出てきた。
コーヒーの入ったマグカップを右手に、そして左手にはテレビのリモコンを持っていた。

いつも思う。
なんでお兄ちゃんは学生のあたしより早く帰ってくるんだろう。
何故か仕事内容を教えてくれないが、きっとちゃんと仕事してないんだろうな。
きっとちゃんと仕事してないやつをおいてくれる仕事先は、何を考えているんだろう。


「こんなやつクビにしちゃえばいいのに。」


「なんか言った?」


「滅相もございません。」


あたしは深々と頭を下げた。


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