パラドックスガール
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「ならいいけど。…友達?」


兄は気づいたように、リモコンを持った手で器用にあたしの後ろを指さした。


「うん。ちょっとうるさくなると思うけど。」


「気にしないからいいけど。まぁオレは下にいるから。
あ、玲央。元気かー?」


「うん。銀、相変わらずだね。」


話をふられた玲央はそう言いながら、凛子と珠希のために扉が閉まらないようにして二人を招き入れた。


「お邪魔しまーす。」


「どうぞ。ゆっくりしてって。」


お兄ちゃんがここぞとばかりに営業スマイルを発揮した。
凛子と珠希が顔を赤くしたのには気づいたけど、あたしは無視して二人を部屋に連れて行った。


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