パラドックスガール
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あれからのあたしたちは、前と同じだ。
一緒に登校して、普通に学校で話して、一緒に帰る。
前と一緒。
ただ、


「わかった。じゃ、また後でね、茗子」


「ん、じゃね。」


そう言って踵を返す玲央に返事をする。
ただ、玲央が「好き」とか「僕の」とか、あたしを主張しなくなっただけ。
それがあたしを身動きさせなくする。


.


いつもどおり。
安心して浸っていればいいのに。

[……茗子が決めること、でしょ]

その言葉が、あたしに深く突き刺さったままで。


もう、玲央がわかんないよ。



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