穢れなき雪の下で
***

それは、12月23日。
世の中に、少し早いクリスマスが訪れた祝日の夜。

珍しい奴から電話があった。


俺は、本業以外の仕事で昼前くらいから忙しくしていたのだが、その着信音で我に返った。


『兵頭 克己』


学生時代、同じサークルのメンバーだった。
ほんの一時期、ミユと付き合ったことのある男、でもある。


チリリと胸の奥に焦げ付くような痛みが走ったが、何食わぬ顔で電話に出る。

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